読書メモ:写真と童話で訪れる高尿酸血症と奇岩・奇石(槇野博史)

2018年12月6日

タイトルだけで一晩酒が飲める

高尿酸血症とは、痛風や尿路結石の原因となる症状のことである。
一方、奇岩・奇石とはその名の通り、珍奇な形状の岩、石のことである。
この両者の共通点は何か。
それを知るためには是非この本を読んで欲しい。
本の中に直接の答えは書いていない。著者からの挑戦である。
尿路結石と奇岩・奇石が似通っている・・・・という感じはするのだが、これはとんだミスリーディング。本で語られているのは尿路結石ではなく、高尿酸血症の方である。

チャレンジングな内容

本の中身は著者の奇岩・奇跡を巡る旅行記が書かれている前半部分「フォトストーリー・高尿酸血症(痛風・尿路結石)とコロラド・積丹半島・久米島の奇岩と果ての浜」、童話風に図を豊富に使い、分かり易く高尿酸血症について語られる後半部分「高尿酸血症のお話・赤オニと青オニの尿酸ブラザース」に分かれている。
前半部分のタイトルには「高尿酸血症(痛風・尿路結石)」と書かれているが、本文内では全く関連性が読み取れない。デンバーで食べたガラガラ蛇の料理の乾燥や、ブルース・スプリングスティーンがコンサートを行った野外劇場の話、そして岩の話等が続く。
ちなみに、本書のタイトルでは「奇岩・奇石」と書かれているが、石についての言及はない。本文に出てくる写真はどれもが立派な大きい岩である。
後半部分の童話のあらすじは以下の通りである。
健康診断の結果があまり芳しくなかった雄二は運動をしようと、ハイキングをしに北海道に来た。
ハイキングコースを往く雄二は途中で足を滑らせ、丘から転げ落ちてしまう。
その雄二を介抱してくれたのは二匹の鬼。
自らを「尿酸ブラザーズ」と呼ぶ彼らは「高尿酸血症改善キャンペーン」を展開しているのだった・・・・。
童話と言うと子どもを対象にしたものと想像してしまうが、完全に大人向けである。

この本だけではない

著者は本作の他にも「写真と童話で訪れるインスリンのふるさとデンマーク」「写真と童話で訪れるアルプスと高血圧」「写真と童話で訪れる北欧と間接リウマチの話」
「写真と童話で訪れる熊野古道と慢性腎臓病」等、多数の本を世に出している。
一貫しているのは「写真と童話で訪れる」というコンセプトだ。
他の著作については手元にないのでわからないが、おそらく本作と似たような構成になっているのだろう。

考察

著者は岡山大学の病院長を務める。プロフィールにはカメラを構えた近影。
私は本作から著者の複雑な胸中を見て取ることが出来た。
「自分の撮った写真を一人でも多くの人に見てもらいたい」という想い。
そして、「自分の撮った写真にどれだけの人が興味を持ってもらえるのか」という迷い。
「医療に関わるものとして、世の中に病気についてもっと知ってもらいたい」という願い。
そして、生まれたのが本作で有り、関連する著作なのではないだろうか。