団地の食卓を支えてきた豆腐・末廣屋(板橋区)【東京豆腐探訪】

2018年10月4日

末廣屋の外観

豆腐屋の店舗の魅力

豆腐店の店頭に華やかさはない。
看板も小さく、それと言われなければなかなか気付かない。
たとえば、同じ製造小売業であるパン屋では洋風の店構えで、遠目から見てもパン屋がそこにあると分かる。店内に入ると、数十種類のパンが並ぶ。
豆腐店は商品数もそこまで多くない。ガラスケースの中身は絹ごし、木綿、がんもどき等の筋肉質な品揃えである。
ガラスケースの奥には製造場所が見えるが、コンクリートがうたれた質素な内装にステンレス製の器具が並ぶ。これは、「衛生」に徹底的にこだわった結果である。

そこにあるのは消費者にこびない実用の美。

昔気質の職人がうまい豆腐をつくるための場所である。

末廣屋の歴史

板橋区の蓮根駅から徒歩5分、商店街の中に末廣屋はある。
この末廣屋は昭和37年、宮野勝次さんが創業した。勝次さんの実家が豆腐屋だったので、自然の成り行きでお店を出すことになったという。
開業当時は店の近くに蓮根団地が作られたばかり。お客はひっきりなしにやってきた。店の前に行列が出来ることの大盛況で、豆腐の製造を効率化するため、高価な機械も購入した。
その頃は末廣屋だけでなく、商店街全体が活気にあふれていたという。

今では近隣にスーパーもでき、商店街も寂しくなった。
訪問後、家に帰ってから勝次さんが開発したという黒ゴマ寄せ豆腐を食べてみた。
香ばしい風味が新鮮で楽しい。他にも白ゴマを入れた豆腐や、酢を入れた豆腐などもあると言う。

団地の一室、一日の終わりに家族団らんの食卓に並ぶ豆腐が脳裏に浮かんだ。
長年、親しまれてきた味をこれからも守っていただきたいと思う。

末廣屋
所在地: 〒174-0046 東京都板橋区蓮根2-26-18
電話: 03-3960-5291

末廣屋の品揃えは非常にベーシック