
今回、お話を伺った樋口竜三郎さん。気さくに対応してくれた。
埼玉県民と池袋
私は埼玉出身だが、池袋にあまり行ったことが無い。
しかし、埼玉県民は池袋で遊ぶと、良く聞く。
これは何かの間違いではないだろうか。
埼玉県民の言う「ブクロ」とは違うブクロではないだろうか。
埼玉から東京へと走る東武線沿線には「大袋」という駅がある。これを指しているのではないだろうか。
と、前置きが長くなった。本筋とは無関係の話で失礼。
池袋の豆腐店
JR池袋駅西口を出て繁華街を通り過ぎ、車が行きかう大通りの脇を歩いていく。
時刻は平日の昼下がり、ターミナル駅の近くということもあり人通りは多い。
マルイのある五差路を通り過ぎ、さらに4、5分程度歩いたところで、カレー屋とコンビニにはさまれた狭い道へと入る。そのひっそりとした道を数十メートル歩くと、三叉路の角地に立つ「樋口豆腐店」を見つけることが出来る。
ステンレスで作られた金属性の看板は清潔感を感じさせ、店頭のショーケースに並ぶ商品はにぎやかだ。しかし、今まで歩いてきた大通りに比べれば格段に人影は少なく、自転車に乗った人をちらほら見かける程度である。
池袋と言っても、住宅の多い界隈に位置する豆腐店、地元の人に親しまれていることだろう。
お店に伺うと樋口豆腐店の三代目店主、樋口竜三郎さんが愛想よく出迎えてくれた。
「少し前の話ですが、韓国のアイドル東方神起の二人に豆腐作りを教える企画があったんです。そのビデオが公開された後は、ファンの方が大勢いらっしゃいました。」
最近は落ち着いてきたが、その頃は豆腐作りに販売にと対応に追われ大変だったという。
樋口豆腐店の歴史
樋口豆腐店は樋口竜三郎さんの祖父である樋口金蔵氏が昭和二年創業した。
その後、昭和44年に竜三郎さんの父である樋口一男氏が後を継いだ。そのころは作れば売れる時代で、お店はとても忙しい様子だったという。
竜三郎さんは4人兄弟の3男として昭和49年に生まれた。大学を出た後はしばらく一般企業に勤め、平成19年に家業を手伝いだした。
現在、豆腐作りに使用している大豆は竜三郎さんが先代と一緒に選んだものだという。
当時は学校給食での需要が多かった。学校給食では、豆腐の味よりも、扱いやすさが重視される。つまり、多少荒く扱っても崩れない堅さが必要だ。味は二の次である。
しかし、竜三郎さんは味でも妥協はしたくなかった。国産大豆を10種類程度取り揃え、先代と試作・試食を繰り返した。その中で、ある程度の堅さがあり、なおかつ味が良いものを選んだ。
毎日食べても飽きない豆腐。
それが竜三郎さんの目指す豆腐である。
新しい工夫と商品開発の日々
竜三郎さんは時代の変化に合わせて、様々な商品開発を行っている。
特に「がんもどき」は色々素材を試行錯誤しながら開発を続けてきた。バジル、ゆり根、紅しょうが、甘玉ねぎ・・・・。味が悪くて商品化をあきらめたものもある。自分では美味しいと思ってもお客さんにはあまり売れないものもある。そして、商品開発には時間と労力がかかる。それでも樋口さんは商品開発を続けていくという。
「他の業界では、お客さんに振り向いてもらうために色々な試みをしています。狭い視野ではいけないと思うのです。」
私も樋口豆腐店で何点か買い物をさせていただき、家で食してみた。
さっぱりとしているがコクのある豆腐、鼻に抜ける香りが新鮮なバジルがんもどき、大豆を使った色々な食品が楽しめるのは大変魅力的だ。是非、池袋に行った際は寄って見られてはいかがだろうか。
樋口豆腐店
所在地: 〒171-0014 東京都豊島区池袋2-21-10
電話: 03-3971-1507