マイクラから無理やりグローバルバリューチェーンの話をする

2018年10月26日

マイクラのプレイ画面。右に見えているのが鉄の剣

現実のものづくりはゲーム内の「クラフト」ではない

最近マイクラをやっている。マイクラとはゲームのマインクラフトのことである。
どんなゲームかと言うと掘削(マイン)や工作(クラフト)を行いながら魔物と闘ったり、家を作ったり、家畜を飼ったりするゲームである。
詳しい説明はwikipediaよいこの動画でも見るといい。
ゲーム内では木を切り倒したり、鉱石を発掘したりして素材を入手し、それを加工することで武器や防具や家具などを作ることが出来る。
基本的に素材の入手から道具の製造までを自分一人で行う。
さて、現実の「ものづくり」はどうだろうか。
例えば「鉄の剣」を作るために、鉄鉱石を自ら採掘し、溶鉱炉でそれを溶かし、鍛造してつくるだろうか。
現実の世界の「鉄の剣」の製造業者は、あらかじめ溶鉱炉で処理された鉄の塊を購入し、鍛造だけを行っているのではあるまいか。
「鉄の剣」製造業者は身近ではないため、どうも例えがしっくりこないが、要するに現在のものづくりは分業で成り立っている。
この企業間で分業し、一つの製品ができていく様を「サプライチェーン」と呼んだり「バリューチェーン」と言う。
しかも、この何とかチェーンは近年、一つの国内で収まるものではなく、複数の国をまたぐものとなっている。
「鉄の剣」の例で考えれば、鉄鉱石は日本国内では採掘されておらず、オーストラリアやブラジルから輸入を行っている。それらを国内で鉄に製錬することもあれば、既に製錬済みの鉄を購入し、剣を製造することもあるだろう。
やはり、この例も、「鉄の剣」が身近ではないため、なんともしっくりこないが、例えばパソコンは素材から部品、そして完成品に至るまでの過程にいくつもの企業、いくつもの国を経ている。
この複数の国を経て一つの製品が出来ていく様を「グローバルバリューチェーン」と言う。

美味しいところは先進国が持っていく

さて、この「グローバルバリューチェーン」の中では複数の企業が関わるが、一つの企業がリーダーとなってこれをけん引する。
そのリーダーとは最終製品を企画・設計・販売・マーケティングする企業である。
これを「主導企業」という。
そして、世界的に販売されている製品の「主導企業」は、その多くが先進国の企業である。
「グローバルバリューチェーン」の中で、一番「美味しいところ」は製造の部分ではなく、企画や設計、もしくはそれらを売るためのマーケティングの部分である。
一方、「グローバルバリューチェーン」で製造を担当しているのは基本的に新興国である。
新興国が産業を先進国のように発展させるためには、自国内に「主導企業」を育成する必要がある。そのためには先進国の技術をキャッチアップして製造をおこなうだけではなく、競争力の高い技術を自ら生み出すことや、イノベーションを創出させることが必要となってくる。
また、「グローバルバリューチェーン」の中で存在感を強め、主導企業から一目置かれる存在になることで、利益を得るという方法もある。

マイクラは先進国の陰謀か?

マイクラでは、最終製品を企画・設計することは出来ない(オリジナルのアイテムを作ることは出来ない。リソースパックをいじったり、modを作るという方法はあるが・・・・)。また、自分でクラフトした道具を販売をすることは出来ず、やマーケティング活動の余地もない。
ゲームのプレイヤーはひたすら素材を集め、クラフトするのみ・・・・。
そして、これが底抜けに楽しい・・・・。
マイクラは先進国だけではなく、インドネシアやインド、ブラジルといった新興国でも爆発的に売れている。

参考:WE’VE SOLD MINECRAFT MANY, MANY TIMES! LOOK!(MOJANG Homepage))

これは新興国に製造の楽しさを身に染みこませることで、「グローバルバリューチェーン」において付加価値の高い工程である「企画・設計」や「販売・マーケティング」に意識を向けさせないための陰謀ではないだろうか。

とは言いすぎか。