売上は総資産に制約をうける【総資産回転率とは】

2018年10月1日

まわれま~われメリゴーラン♪

売上の土台は資産

売上の数値計画を立てるとき、誰しも右肩上がりの目標を立てることだろう。
しかし、売上をあげるためには相応の資産が必要である。
ここで言う資産とは固定資産だけを指しているのではない。貸借対照表の左側である総資産を指す。
例えば、製造業であればもちろん固定資産は重要だが、事業を行うためにはそれ以外にも部品在庫、商品在庫、外注費用や賃料、給料、その他の支払いを行うための現金が必要となってくる。
売上を増大させることを考えた場合、部品の仕入れや商品在庫は増え、外注費用の支払いも大きくなることが予想される。また、現状の設備の生産能力では足らずに新たな設備導入が必要かもしれない。設備を置く場所が無いために新たに土地を借りる必要があるかもしれない。
このとおり、売上を向上させるためには資産も膨らませる必要がある。
逆に言えば、資産により、ある程度売上は制約されてしまう。
これは製造業に限った話ではなく、小売業、サービス業等々、全ての業種に言えることである。

業界の総資産回転率をチェックしよう

今持てる資産でどれだけの売上が上げられるのか、それを推定するには業種ごとの「総資産回転率」の平均の数値を調べると良いだろう。

※総資本回転率ともいう。総資産と総資本の金額はイコールである。貸借対照表を良く見よう。

「総資産回転率」とは年間の売上を総資産(または総資本)の総額で割った数値である。この計算によって出てきた数値は、売上が資産の何倍かを表す。少ない資産で高い売上を達成した場合はこの数値が大きくなり、資産のわりに売上が振るわなかった場合は数値が小さくなる。

総資産回転率 = 売上 / 総資産

この「総資産回転率」は業種ごとに大きく変わる。そのため、自社が属する業種の平均値と自社の数値を比べて判断する必要がある。
では、業種の平均値をどこで調べればよいか。
一つは、国の調査結果を活用することが考えられる。経済産業省は「経済産業省企業活動基本調査」の結果を発表しており、細かい産業分類ごとに資産の状況や売上の状況を知ることができる。しかし、調査対象が「該当業種の事業所を持つ企業のうち従業者50人以上かつ資本金又は出資金3,000万円以上の会社」に限られているため、中小企業や創業に際して参考にすることは難しい。
一方で、中小企業庁も同様の数値発表している。こちらは「中小企業実態基本調査」と言い、その名の通り、中小企業を対象に調査したものである。
しかし、どちらの資料でも「総資産回転率」そのものの数字は無いため、自分で計算する努力が必要となる。
すでに計算している資料はないだろうか。
中小企業診断士の有志の方々が発表している資料がある。

東京都中小企業診断士協会城南支部 財務診断研究会 中小企業の財務指標

こちらは「中小企業実態基本調査報告書(速報)」をもとに作成されているとある。
是非、活用させていただこう。

業界平均と比べて御社の総資産回転率はどうか?

この「総資産回転率」が業界水準よりも下であればまだ売上を上げられる余地があるかもしれない。また、「資産が非効率な状態にあるので充分な売上を上げられない」ということも考えられる。不要な固定資産があったり、棚卸資産が過大であるといったような場合である。現金が増えれば、様々な用途で活用できる。他の資産に変えることも可能となる。そのため、不要な資産の売却や棚卸資産を適切な水準に保つ努力が必要となる。
一方、業界水準程度であれば、更に売り上げを上げるためには借入や資金の注入、もしくは利益剰余金の積み重ねによって、運転資金や設備資金を調達し、資産を拡大させることも検討が必要だろう。
当面の間、そういった資金・借入金を増やせる見込みのないときは、売上よりも利益に目を向けたほうが良いかもしれない。
その場合は商品・サービスの付加価値増大やコスト削減等の取組を行うことを検討することとなる。