損益分岐点の落とし穴

2018年9月25日

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落とし穴と言えばとんねるずの全落オープンですね。

損益分岐点とは

売上計画を立案するとき、その基準となる「売上」とはどう考えればいいだろうか。
もちろん直近期の売上も基準の一つである。しかし、十分ではない。例えば、現状の売上が赤字だったとして、その売上だけを頼りに「前年比5%アップ!」と盲目的に決めていいものだろうか。
もしくは、新しく企業を立ち上げるとき、どのように売上を設定すればいいだろうか。
これらの疑問に答えるのが「損益分岐点」である。
「損益分岐点」は最低限どれだけ売上をあげれば利益がでるかの基準となる売上である。

損益分岐点の計算方法

損益分岐点を計算する際にあらかじめ用意が必要な数字が二つある。それが変動費と固定費である。
変動費は簡単に言えば売上が上昇するに伴って一定の比率で上昇する費用のことである。製造業であれば材料費、小売業であれば商品代金がこれにあたる。
そして、固定費は売上に関わらずかかる費用のことである。例えば賃料は売上が上下しても一定である。また、人件費も固定費に入る。仕事が忙しくなると残業代が増える場合もあるが、極端な変動はないためである。
上記の二つを用意した後は、まず、売上と変動費から変動比率を導く。
単純に変動費を売上で割ればよい。こうして出てきた数字が変動比率である。
次に、固定費を(1-変動比率)で割る。こうして出てきた数字が損益分岐点である。
例えば、売上が1000万円に対して変動費が300万円、固定費が500万円だったとしよう。
まず、変動比率を導く。300万円 / 1000万円で0.3となる。
次に、500万円 / (1-0.3)を計算する。
結果、損益分岐点は7,142,857円となる。非常に中途半端な数値である。もっとキリのいい結果がでる数字でやればよかったかもしれない。
上記の例では7,142,857円以上の売上をあげれば利益がでる計算となる。

本当に固定費は一定で変わらないものだろうか?

ここで次の例を考えてみよう
A株式会社では直近期の売上が1000万円、変動費は900万円で固定費は1000万円だった。
さて、ここで損益分岐点を計算してみると、1億円以上、売上を上げなければ利益は出ない計算となる。
ここで一つ問題が生じる。1億円の売上を上げるために必要な固定費は果たして1000万円で足りるのか?
中小企業庁の資料によると、製造業の一人当たり売上高の平均は中小企業で約3200万円となっている。
参考:中小企業白書2016

※実際の分布は、もっと低いところに数が集中しており、中央値で算出すれば一人当たり売上高はもっと低くなるだろう。

この数字を参考にすると、もしA社の従業員が一人ないし二人で有れば新たに雇用しなければ1億の売上に到達することは難しいと考えられる。そうなると、固定費が増え、そもそも損益分岐点は1億円よりも高くなることだろう。
また、機械設備を増設しないと売上に届く生産量は達成できないかもしれない。
人員を増やす、機械設備を増やすとなると、現状のオフィス・工場では対応できず、新たにもっと広いところに移る必要があるかもしれない。
固定費は「全く変わらない」費用ではなく、売上に伴い徐々に増える変動費に対し、一定の売上ごとにまとまって増加する費用と捉えたほうが適切だろう。
損益分岐点は目安に過ぎず、多角的に「どこまで売上を上げれば利益がでるのか」を考えていく必要がある。