吉野家のデジタルボトルキープは何故ドリンク回数券ではいけないのか?その理由


R.I.P 大橋巨泉

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吉野家で「デジタルボトルキープ」開始!ってそれ何?

吉野家でボトルキープが出来る。

嘘ではない。

ただ、お店に実際の「ボトル」をキープできるわけではなく、バーチャルな「ボトル」をキープするという違いはあるが・・・。

この「デジタルボトルキープ」の仕組みは以下の通りである。

①「KeepService」というアプリを携帯にインストールする。

EPARK KeepService(Google Play)

②吉野家でもおつまみやアルコール類に注力していることを示す「吉呑み」を実施している店舗で、アプリを見せ、お金を店員さんに払う。

吉呑み(吉野家HP)

ちなみに焼酎が2,500円、ビールが3,000円となっており、それぞれ10杯分の権利となっている。通常価格で飲むよりも、「デジタルボトルキープ」を利用すると500円お得となる。

③酒を頼むときはアプリを起動して店員に見せて注文。

以上である。

それってドリンク回数券でも良くない?いやダメです。

この仕組みだけを見ると、ファーストフード店やコーヒーチェーン店で実施しているドリンク回数券と同じ仕組みと思われるかもしれない。

ドリンク回数券について(SUBWAY HP)

チケット(コメダ珈琲店)

確かに実質的な機能は同じである。

しかし、重要なのは吉野家がターゲットにしている消費者層にどう見えるかである。

吉呑みのターゲットは誰だ!?

吉野家の「吉呑み」がターゲットとして思い描いているのは、どのような人物像だろうか。

日経トレンディの過去の調査によれば、吉野家に好感をもっているのは若い世代よりも40代以上の方ということである。

若世代はすき家、年配世代は吉野家が“お気に入り”、独身一人暮らしは松屋も(日経トレンディネット)

また、国税庁が作成した資料「酒レポート」を見ると、男性で50代以上になると半分以上が飲酒の習慣があると答えている。

酒レポート平成28年3月(国税庁)より

酒レポート平成28年3月(国税庁)より https://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/shiori-gaikyo/shiori/2016/pdf/000.pdf

更に、「吉呑み」を実施している店舗の店頭にぶら下げてある提灯は、大衆居酒屋の赤提灯を真似たものであり、年配の方に特に親しまれたシンボルである。

以上のことから、吉呑みのターゲットは40代後半から上であり、以下の特徴を持っていることが想像される。

  • 毎日酒を飲むことが習慣化している。
  • 外で飲むときはボトルをいれて出来るだけ安く済ませる。
  • 行きつけの店がある。

さて、このようなターゲットが吉野家で酒を気軽に呑めるためにはどうするか。

「デジタルボトルキープ」は何を狙っているのか?

先ほど述べた40代以上の男性達、彼らには吉野家は「食事をするところ」として見えていることだろう。

そのイメージを打ち崩すことは簡単ではない。

赤提灯を店頭につるす等はその「食事をするところ」として固定化されたイメージを打ち壊す策略の一環である。

吉野家としては、その「吉呑み」に手ごたえを感じており、更に来店回数を増やそうとして、ドリンク先払い割引サービスの導入を検討したのであろう。

そこで、「ドリンク回数券」なんてものを持ち出してしまっては「吉呑み」が築いてきた「呑める場所」というイメージは台無しとなってしまう。

そのため、居酒屋の「ボトルキープ」というシステムを踏襲したものとして、年配の方にも出来るだけ違和感がないように今回の企画を考えたのではないだろうか。

吉野家がライバルとしているのは、もはや同じ牛丼屋だけではない。居酒屋も同じ土俵に乗っていると考えているようだ。