イギリスのEU離脱による製造業への影響 -CEマーキング-


イギリスに電撃が走った

イギリスに電撃が走った

イギリス、EU離脱へ

先日、国民投票により、EU離脱が決定的となったイギリス。
残留優位と言われていたこともあり、その結果は世界に驚きをもって受け止められた。
早速、為替が大きく乱れたり、他国でも離脱についての発言が見受けられたりと影響が広がっている。

最大の危機に直面=ドミノ離脱の恐れ-EU(時事ドットコムニュース)

今後も様々な側面において、イギリスや連合国、EU加盟諸国、その他世界の国々に大きな変化をもたらすだろう。
それら全般について語ることは、なかなか容易ではない。
ここでは、今回の離脱がイギリス内の製造業にどのような影響を与えるか、規格への適合・CEマークの表示義務に焦点を絞り、考えることにする。

規格への適合・CEマークの表示義務

EUでは加盟国内で流通する製品に様々な規格を設けている。
一部をあげれば、電子製品への重金属等の使用を制限するRoHS指令や、子ども向け製品の安全性を確保することを求めた玩具安全指令等が定められている。

EU内で製品を販売する際は、どの規格が適用となるか、自社で判断し、全ての規格を満たしていることを表す「CEマーク」を製品等に表示し、規格への適合宣言書を作成する等の義務がある。
この適合規格の判断を間違えたり、規格に適合していないのにCEマークを表示してしまうと、製品回収や罰金、禁固刑等の罰則を受ける可能性がある。

他国がEUへの輸出を行う際には、(EU加盟国が対応する場合に比較して)この規格への対応に大きなコストをかける必要があり、この規格は実質EU外からの輸入品に対する防護壁となっている。
CEマーキングは国内法で規定されている。

それでは今回、イギリスがEUを離脱すると、イギリス国内で製品流通をさせるとき、このEUで定められている様々な規格への適合やCEマークの表示が必要なくなるのだろうか。

EU以外でののCEマーク表示義務

EUが定めている規格やCEマークの表示義務が必要となる国は、実は別にもある。

それはアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、そしてトルコである。

このうちアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーはEFTA(欧州自由貿易連合)の加盟国である。
このEFTAは、もともとEUの前身であるEECに加盟しなかった国々で自由貿易を目的としてつくられた。
しかし、現在はEFTAはEUと一緒になり、EEA(欧州経済領域)という枠組みに収まっている。
このEEAは、「EU内の商品、人、サービス、資本の移動の自由」をEFTA加盟国へと適用範囲を広げるものである。

このEFTAはもともとイギリスが中心となり設立されたものである。その後、イギリスはEUに加盟することとなり、脱退した。しかし、EU離脱が将来的に確実となった今、EFTA加盟国へと戻ることも予想される。
戻らなくてもEUとの協調体制を敷いていくのならば、トルコのようにEUに準じた形で国内法を制定させることも考えられる。

EU離脱後のイギリス国内での製品流通は

そう考えると、EU離脱後もイギリス国内へ流通させる製品に対する義務は、現状から大きな変更はなく、規格への対応やCEマークの表示が必要となることだろう。
一方で、イギリスは、EUの定める各種規格の制定に関し、声をあげることが出来なくなる。
そのことで、イギリス国内の製造業者はEU加盟国に比べ、不利な側面に立たされる可能性もある。