インタビューはインタビュー


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武勇伝を参考にまともな経営なんて出来ない

ビジネス誌をめくれば、そこには経営者の語る成功談が必ず載っている。
会社設立当時の苦労話、倒産寸前での逆転劇、急成長時の失敗と改善等々・・・・。
それを読んで「うちの会社もこの経営者の言うことを参考にしてみよう!」と間違っても考えてはいけない。
理由は二つ。

インタビューは「客観的な記録」ではない

一つ目は、経営者が意図するしないにかかわらず、インタビュー記事には二重、三重の脚色が加えられているからである。
昔、経験したことを、正確に述べられる人がどれだけいるだろうか。当時、自分がどのような考えだったかを明確に思い出し、言葉にするということはそうたやすいことではない。
大抵は年月が経つうちに、都合よく記憶はデフォルメされて、当時とは全く異なる風景が描かれてしまう。そこに作為はない。どうしようもない人間の性質ともいえる。
また、こんなことも考えられる。
雑誌にインタビュー記事が掲載されるということは、企業にとってPRのチャンスである。企業の代表である経営者その人であれば、そのチャンスを最大限生かそうとするだろう。今まであった大したことのないアクシデントも重大な危機が起こったように語り、それをいかにダイナミックに解決したかを語る。そのストーリーに読者は引き込まれ、ついつい誰かに話したくなってしまう。
例え、インタビューに答えた経営者が、なんの意識せず話をしたとしても、それを文字に起こす記者は、読者の興味を引くため、もしくはより読みやすい読み物とするために、必要のない話は文字にしなかったり、自分の解釈を加えて文書を作るかもしれない。

経営手法としては整理が不十分である

二つ目の理由は、インタビューという短い文章の中で述べられている体系だっていない方法では、一般的な現象に適応させられないということである。
例えば、ある企業が、富裕層向けに高価なジュエリーを販売して大儲けしたという記事が載っていたとする。それを見てあなたは思う。「これからは富裕層向けにビジネスを行えば儲かるのでは?」と。それであなたは、新たに富裕層向けの家電を開発し、販売を始める。しかし、今までそのようなターゲットに対し、販売したことのないあなたは、戸惑ってしまう。
どのようなメディアで宣伝をすればいいのか、販売チャネルはどうするのか、アフターサービスはどこまで行えば良いのか・・・・。
商売成功の要因は一側面からだけでは決して推し量ることができない。下手に真似をすれば必ず火傷を負うことになるだろう。
それでは、成功した経営者のインタビューは全く価値のないものなのだろうか。
そんなことはない。その「武勇伝」に、どれだけ脚色が加えられていたとしても、それを読むだけであなたは経営に対して前向きになり、意欲が湧いてくるだろう。
心のカンフル剤としては、充分効果的なのである。